伯備線が止まった中海宍道湖経済圏は、琵琶湖の水を失った京都みたいなもの
洪水の被害の続報である。
先ほどJR西日本がプレスを発表し、鉄道の被災区状況が明らかになった。
それによると、広島・岡山・山口の各県で被害が発生しているのだが、
特に岡山と山陰を結ぶ伯備線で大きな被害が出ている。
土砂の流入や変電所の水没などで、1か月以上に渡って列車の運行ができないという。
これがどれくらい悲劇的で致命的なことなのか、山陰の外の方に説明する方法がなかなか見つからないのだが、
ざっくり言って、東海地震で東海道ルートが壊滅して東名阪の移動ができないことにほぼ匹敵する。
山陰、特に鳥取県西部と島根県東部から、陸路で首都圏、中京圏、関西圏にアクセスする方法は、
原則的に伯備線の特急「やくも」を使って岡山に出て、そこから新幹線を使うこと、ほぼこれに限られる。
一応高速道路が走っていて関西からだと車や高速バスで来れない距離ではないのだが、時間は相当かかるし、
空路を使おうとなると格安の航空会社が飛んでいないので割高のレガシーキャリアに乗ることを強いられる。
伯備線はやくも号が走るメインルートだが、山沿いを走りカーブも多く、やくも号車両も古いので、
スピードや本数において、陸路では存在感を示していて失ってはならないもののわりにリスクも大きかった。
それが壊滅した今、15万都市が三つ並ぶ山陰中央部、中海宍道湖経済圏には大きな打撃があるだろう。
まして今は山陰デスティネーションキャンペーンという大型観光企画の真っ最中。関係者は頭を抱えているに違いない。
山陽の物流が止まって初めてわかる山陰の重要性
先般の豪雨により、西日本各地で大きな被害が出ている。
特に同じ中国地方の岡山県・鳥取県は土砂災害や河川の氾濫が大きく報道でも取り上げられ、被害の甚大さは言うまでもない。
今回は、これまで比較的大きな災害が少なかった故、道路や鉄路の幹線ルートになっていた山陽地方に被害が出ているため、物流事情に大きく懸念されている。
四国、特に愛媛県の山中でも同じように大きな被害が出ているそうだが、山陽地方がやられるのは相当まずい。
SNSに被害状況の写真がアップされているが、山陽自動車道は道路に大量の土砂が流れ込んで普通になってるし、
山陽本線は路盤が流出した上変電所まで流されていて、復旧に数か月かかるともされている。
山陽本線が通れないとなると、広島・山口・九州と関西・東日本を結ぶ物流の肝となっていた貨物列車が当然行き来できないわけで、
これはかなり影響がでかいと思う。
もちろん山陰もノーダメージではない。
大規模な浸水被害があった岡山県倉敷市真備のすぐそばを通る伯備線は、山陰の米子・松江・出雲市を結ぶ重要な幹線であり、
これが長引いてしまうと山陰の民が陸路で他の地域に出るのが難しくなる。
同様に、鳥取市と関西を結ぶルートにある因美線でも路盤が流されているらしく、これまた不便である。
とはいえ、山陰自体で大きな被害が出たのは江の川流域の一部地域(今はなき三江線の沿線)くらいなので、
逆に山陽地方を通れなかった大型のトラックが、米子道から山陰道を経由して西へと迂回するようなことも見られていたらしく興味深い。
現に月曜日はトラックで高速未開通区間の国道が混雑し、目的地に着くまで時間を要した地元の知り合いも多くいたそうだ。
地方では高いレベルで芸術を嗜めない、って話
このブログでは、よく地方の機会損失について書いているが、特に娯楽の点においてそれは顕著であると思う。
オタクの地方民にとって、コミケやオンリーイベント、アイドルユニットのライブなどへの遠征はそれだけで大きな負担であるし、
それは一般アーティストのライブを見に行ったり、プロレスや相撲など回数の限られたスポーツの興行を観戦しに行く人とて同じである。
だが、今回特に指摘したいのは、いわゆる「芸術鑑賞」の点において、地方の人は都会の人、特に首都圏在住の人と比較して大きく機会に恵まれていない、と言えると思う。
しばしば、上野の美術館で大きな展覧会があり、行列ができたことがSNSやマスメディアで取り上げられることがある。
近年だと北斎展は大きな話題になったと記憶している。
上野以外でも、今は六本木でルーブル展をやってたり、ちょっと前には目白だかのアトリエで春画展をやってて人が殺到してたりと、常に東京ではどこかで美術展をやっている。
また、落語の寄席や歌舞伎などの演芸に容易に触れられるのも大きいと思う。
都内には寄席が何軒もあり、ほぼ毎日公演をやっている。
歌舞伎も公演は毎日とは言わずも毎月途切れることはない。
東京の人間は、SNSで話題になっていたりすると、会社帰りや週末にふらっと美術展や寄席や歌舞伎に立ち寄れるのだ。わざわざチケットを仕立て、宿を手配し、しっかりと準備することもない。帰りがけにスーパーに立ち寄る感覚で、最先端の芸術に触れられるのだ。
これは地方に来ないと気がつかなかった、実感できなかった、大きな地方と東京の格差だと思う。
地方の公立中学の中学生とかいう未知の人種
最近始めたバイトで、地元の公立中学校の中学生に勉強を教えている。
ちょうど期末テスト前ということで各々テキストを持ってきて勉強してるのにちょっかいを出すわけだが、またこれが不思議だ。
まず、わりとびっくりするのが、
それなりに授業内容を理解していて、学校のワークもすらすら間違い少なく解いてく子と、
一年生のうちに習う単語や公式がしっかり入ってないような三年生の子がいて、
みんな同じクラスに詰め込まれて足並み揃えて勉強してるところだ。
都会で特に中高一貫教育の学校だったりすると、中二くらいから進学コースは進学コースで振り分けられて、習熟度別の授業になったりもするので、新鮮だった。
あと驚いたのが、理科が理科Ⅰ理科Ⅱに分かれてなかったり、社会も歴史地理が同じ教科書に詰め込まれて分かれてなかったりすること。教えるときに大変じゃないかなって思うの。
あと、全ての学年に保健体育の座学の授業があるのも驚きだった。うちのいた東京の一貫校は中三だけだった気がする。
とにかくいろいろ新鮮な気持ちでバイトをする日々です。
ニートじゃなくなりました
久しぶりの更新になってしまいました。みなさん元気ですか?
さて、このブログの筆者ですが、来週からアルバイトを始めて社会に復帰することになりました。
週三回、三時間のバイトなのですが、まあぼちぼちやってこうと思ってます。
このブログでもちょっとだけ触れた現場なので、また何か発見があったら記事にしようと思います。
今日はそれだけ。ではでは。アディオス!
若者向けの切符がないことを嘆く向きもあるけど、実際需要がないんだろ?
自分の周りの界隈だと、高校大学の友人にしてもネットの知り合いにしても、「旅行好き」や「何かのきっかけで旅行する」ような若い人が多い。
そんな彼らが共通して言うのは、「中高年や外国人観光客がきっぷなどで優遇されててうざい」「若い旅行客向けにも割引切符を出せ」といった声である。
無論僕たち若い世代が使いやすい鉄道のフリーきっぷだったりレガシーキャリアの航空券の割引制度、旅行代理店のパックツアーがあればそれに越したことはないんであろうが、
そんなものが出てこないのには理由があると思う。
はっきり言って、旅行産業にとって、若者は、外国人観光客や中高年の暇人と比べて
「金にならない」
んだと思うんだよね。
考えても見てほしい。
ごくごく一般的な若い社会人、あるいは大学生が「プライベートで新幹線に乗って県外に行く」ような用事って、
大阪の桜島か東京の舞浜のテーマパークに行くくらいしか考えられない。
観光地に行く、っつったって、旅行がたいして好きでもない若者が行くのは、せいぜい新幹線のある金沢や仙台、飛行機が便利な福岡や札幌くらいな気がする。
そんな彼らが、汽車に乗るときに、果たして「コンビニじゃない駅の売店で」駅弁を買うだろうか。ホテルの部屋から繰り出して町で飲みに行くだろうか。
ぼくは残念ながらこの仮説にはNOって答えると思う。
要するに、彼らはそもそも旅行をしないし、したとしても行き先は限られてるし、それでお金も落ちないんだと思うのだ。
そりゃ観光業界は見捨てるに決まってるよね。
もちろんどうしようもないから諦めろって言ってる訳じゃない。
皆も知っているように、いわゆる経済的に豊かなオタクの皆さんは、
ガチャで爆死することでゲーム会社を儲からせるし、
握手券欲しさにCD代に貢ぐし、
応援上映やロングラン上映に足繁く通っている。
スポーツの応援であちこち飛び回る人もいる。
別に若者にお金がないわけじゃないし、彼らは外に出ることが嫌いじゃない。
その点では、旅行業界や運輸サービス業界は、お金を生んでくれる若者を取り込むのが遅れたよね。。って思うな。
スポーツ興行の世界にこそ、敢えて「地方対東京」の視点を入れてもいいと個人的に思う。
僕がバスケットボールのプロリーグ「Bリーグ」のファンであるということは以前記事に書いたと思うが、
その界隈でのホットトピックを少し噛み砕いて今日は紹介しようと思う。
多少マニアックな話になるかもしれないがご了承いただきたい。
ちょうど昨日5/29に、Bリーグの各賞の発表があって、
得点王の表彰やMVP、ベストファイブ(バスケは5人スポーツなので)、新人王の発表が行われた。
その際、票数非公開の記者投票で選考される新人王の選考が揉めた。
成績的にも順当に選出されるのが濃厚と見られていた、西日本の政令指定都市の地域密着クラブ(この辺はBリーグのバックグラウンドから説明せないけんので難しい、分かる人には旧bjのチームとだけ)のルーキーA選手ではなく、
東京フランチャイズで大企業のバックアップがあるチーム(旧NBLの名門チームです)に、大学から鳴り物入りで入団した世代別日本代表の有名選手B(一定の成績は残したがインパクトがあるかというと微妙)が選ばれ、
投票の不透明さもあって一部ファンの怒りが爆発、「B選手ありきの出来レースだ」といった声や個人批判がSNSに見られたり、
ある程度試合を見ているであろうライターからも苦言を呈するコラムが書かれるなど、昨日のBリーグ界隈のTwitterは異様な雰囲気だった。
ここで本題に移る。
今回僕がブログに書くのは、A選手が妥当だったとかB選手が不適切だったとかそういう意見を記すのではなく、
「なぜ記者が、そしてリーグがB選手を推しているか」ということについて持論を展開していく。
そもそも、B選手の所属するチームは、東京にフランチャイズがあるだけでなく、比較的資金も豊かで、かつスター性のある選手も多く(日本代表の実力を持ち、その上で有名タレントの恋人であるイケメン選手がいる)、さらにチームもリーグ制覇経験のある強豪だ。
日本のプロ野球で例えると、読売巨人軍、ジャイアンツのような、いわゆる「大正義チーム」である。
ここからは僕の持論だが、
スポーツの興行では、こんな感じに「強くて」「金持ちで」「華やかで」「みんな知ってる」「だからこそのアンチも多い」ような、大正義チームが一つくらいあってもいいんじゃないか、と思うのだ。
20年前のプロ野球は、「巨人」と「それ以外」という構図で回っていた。セリーグの五球団の目標は「打倒巨人」で一致していた。
星野さんがいたころの中日ドラゴンズや阪神タイガース、今の広島東洋カープは、「持てる球団」である、東京のジャイアンツを倒すために地方で力を蓄えていた。
バスケの世界も、そんな東京のチームを倒すことを共通目標に、地方球団は「打倒東京」という姿勢をもっと打ち出してもいいと思う。実力でも。メディアの露出でも。
同じプロ野球の話をすると、地方に散らばったパリーグは地方で力を蓄えた。
田中将大を擁して東北楽天ゴールデンイーグルスが巨人を破ったのはまだ記憶に新しい。柳田悠岐や内川聖一といった面々で連覇をして今のプロ野球を席巻しているのは福岡ソフトバンクホークスだ。地方の球団だからという言い訳は通用しない。国民的スター大谷翔平がいたのは北海道日本ハムファイターズ、地元密着球団のはしりみたいなところだ。
地方が東京に勝てるチャンスがある、下克上するチャンスがある、スポーツの世界にはそんなロマンが眠ってると思う。A選手のチームだけでなく、地方のチームはこれに奮起して欲しいと思った。