人学ばざれば智なし、智なき者は愚人なり

慶應卒、山陰在住、一人暮らしニートの戯れ言

アメフトは世界一高度な戦略スポーツ、野蛮な殺人格闘技ではない

今、アメリカンフットボールというスポーツがお茶の間を賑わしている。

今回の悪質なタックルの事件に関しては、スポーツ界隈の組織の闇の深さがわかったこと以外特にコメントはしないけれど、

やっぱりここまでアメフトが世の中の話題になったことはないし、偏見まみれで語られることも多いと思うので、

これを期にアメフトを知った読者の方(どれくらいいるか知らないが)にもアメフトの魅力を知ってもらおうと気合い入れてブログ書くことにする。

 

<ざっくりルール>

 

アメフトのルールはわりと複雑だとされるが、基本的なことを押さえればある程度理解できると思う。

 

・攻撃チームと守備チームに分かれる

・ボールを前に投げられるのは一回まで

・ボールを持った状態で倒れる/膝をつく、あるいはパスされたボールをキャッチできなかったらターンエンド。(持っているボールがこぼれた場合はプレー継続)

・4ターン以内に10ヤード(約10メートル)前に進めなかったら攻守交代(「ターンオーバー」)。こぼれ球やパスをノーバウンドで奪ったときもターンオーバー。10ヤード進んだら進んだ距離がその時点でリセットされて、またそこから4ターンで10ヤード、の繰り返し

・フィールドの広さは100ヤードで、そこから先10ヤードのエンドゾーンにボールを運ぶと7点の「タッチダウン」(ボーナスキックで+1点)。少し離れたところからボールを蹴って空中のゴールに入れたら3点の「フィールドゴール」。

・パス失敗や距離リセット、選手が外に出たとき以外は時計が動き続ける

 

<ざっくり戦術>

 

以上のことから、大きく分けて攻撃の戦術は3つ(?)ある。

 

・ランプレー

ボールを持った状態で走ってボールを前に進める戦術。通常は人が多いところを抜けていくのであまり進めないことが多い反面、ハマると一気に前に出れる。また、しっかりとボールを確保しているので、めったなことで強制攻守交代にならない

・パスプレー

QB(クォーターバック・司令塔)が前方のパスを受ける選手にボールを投げて距離を稼ぐプレー。遠距離のパスで一気に進むこともあれば、短いパスを積み重ねて距離をリセットしながら進むこともある。

スペシャルプレー

厳密に言うと攻撃ではないが、例えば、4ターンで10ヤード進めないと強制的に攻守交代になるけれど、自陣のエンドゾーンに近い位置で相手にボールを渡すのはリスクがあるので、通常はパントといって4ターン目にボールを大きく敵陣に蹴り出す。また、同様に敵陣深くまで攻め行ったけれど3ターン目で10ヤード進めなかった場合、タッチダウンを狙ってターンオーバーになるリスクを負わず安全にフィールドゴールを狙うこともある。

・ビッグプレー

ランプレーでボールがこぼれたり、パスを相手が直接キャッチしてターンオーバーすること。そのプレーで守備側がそのまま一気に進んでタッチダウンすることも可能。

 

<ざっくりみどころ>

 

・ラインマンとQB

パスプレーでQBが前方にパスを投げる際、QBがパスする選手を探す前に相手ディフェンスの一番前にいる選手がQBを潰す(今回の不祥事の壊すとは異議)(QBが後ろで潰れるとオフェンスは距離がマイナスになり、こぼれ球を拾ってターンオーバーからビッグプレー狙える)動きと、オフェンスの前にいる選手がそれを防ぐ動き。通常オフェンスもディフェンスもこの役割をする「ライン」の選手は相撲取り顔負けのガタイの選手多い。

 

・パスのレシーバーと守備バックの駆け引き

QBがパスを出す際、それを受けとる選手(まとめて「レシーバー」)と、それを妨害して危うくばターンオーバーを狙う相手の選手(まとめて「バック」)の駆け引き。特にフィールド奥で展開される動きはサッカーでいうところの裏を取る動きとも似ているし、逆にフィールド中央のディフェンスの密集しているところの針の穴一本のところに通すQBの正確なパスとそこに飛び込むレシーバーの動きの正確さも見所。

・ランナーの強行突破とブロッキング

ランプレーでは、パスを投げるよりも走るのが得意なQBや、ランニングバックという走るのが専門のプレーの選手が活躍する。ランプレーはディフェンスが直接ランナーを止めようと突っ込んでくるので、それを振り切るフィジカルの強さも見られるし、突っ込んでくるディフェンスをオフェンスの選手が横について撥ね飛ばすブロッキングという動きも見ていて気持ちいい。

・時間管理

プレーが止まっても時計が止まらないことの多いアメフト特有の要素。勝っているときの終盤の攻撃で時間をゆっくり使いたいときには、時計の止まりにくいランプレーを、逆に負けていて急いでいるときは、パスをわざと失敗したり外に出るプレーを多く選択したり、タイムアウトを取って時計を止めることもあるし、攻め行ったらわざとタッチダウンしないでギリギリまで時計を進めてフィールドゴールを狙うということもある。

 

文字で書いたけどなかなか魅力が伝わらないので、一度動画でも見ればいいんじゃないかな。

アメフトの全米決勝戦スーパーボウルはアメリカ最大のスポーツイベント。ここに常連のように出てくるニューイングランド・ペイトリオッツってチームがあって、どんなに負けてても抜群の勝負強さと化け物みたいな集中力で逆転するトム・ブレイディってQBがいるので、ぜひ見て欲しい。

 

#アメフトはいいぞ